老いた父のベッドを暖かく
衰えだした肉体
私は父と一緒に住んでいる。
父は86歳で、もう体が動かなくなってきている。
2階にある寝室に上がるのも一苦労だ。
私は1階に寝室を移した方がいいと思うのだが、ベッドを動かすのも大変なので、
なかなか腰が上がらない。
父自身は、「せめて2階くらいは階段を登れないと」、と思っているようで、
1階に寝室を移動するのを嫌がっている。
父は若い頃はマラソンをしていた。陸上の本格的なランナーではなく、社会人になり健康のために始めた市井のランナーであった。毎週末元気に走っていた頃を思い出す。
それが、今では歩くのもやっとだ。
私は毎晩、父がベッドに入るのを手伝って、布団をかけてあげる。
それが私の最近の日課だ。父は布団をかけてもらうと、「ありがとう」と言ってくれる。
その声がとても悲しく聞こえる。
父は自分の体が動かなくなっていることを悩んでいるのだろうか。
日に日に動けなくなっていく父の姿を見て、自分の老後を考えている。
私もこんなふうになってしまうのだろうか。
こんなにはなりたくないし、なったとしても私は独身、布団をかけてくれる子供もいない。
こうなる前には死にたいものだ。と心から思っている。
そして死ぬ最後の瞬間まで、自分で動いていたいと思う。
だからボクシングフィットネス、頑張っているのだ。
ボクシングフィットネスではリングに立つことはない。
でも、人生の最後のラウンドまで立ち続けていたい。
そして、私が毎晩お布団をかけてあげる行為は「介護」といいうのであろうか?